
カスタマーサクセスの成果を自社の売上につなげるのは、カスタマーサクセスの提案の上手さやアップセル活動の頑張りだけではない。
顧客の成果が大きくなるほど、自然と利用が広がる料金・プロダクトの設計が重要である。
顧客の成果は出ているのに、売上が伸びない。
そんなときは、料金体系やプロダクト設計を見直しましょう。
顧客は成果を出しているのに、売上が伸びない
オンボーディングを丁寧に進め、顧客は最初の成果を出した。
顧客からは「おかげで業務が回るようになりました」と感謝され、
事例として紹介させてもらえることにもなった。
手応えを感じて、次の成果を描いた。ほかの部署にも広げたい。もっと深い分析にも使ってほしい。
ところが、それを実現するためのオプションや上位プランが、そもそも料金体系にない。
提案できるのは今のプランの中での活用支援に止まってしまいます。
解約の心配はないが、売上は契約時から変わっておらずアップセルできていない。
このとき、カスタマーサクセスの業務が失敗しているわけではありません。
顧客は確かに成果が出ていました。
不足しているのは、料金とプロダクトの「設計」です。
顧客の成果が、今のプランの中で完結してしまい、さらに成果を出したいと思っても、それを実現する選択肢がなければ、追加の投資は生まれようがありません。
現時点で良くても顧客の更なる成果に応えられない、自社の売り上げに繋がらない状態が続くと事業成長に限界が見えてしまいます。
顧客の成功と自社の成功は、設計がなければ循環しない
改めてですが、カスタマーサクセスは、「顧客の成功」と「自社の成功」がミッションです。
成果の創出と価値の提供が「顧客の成功」、アップセルやLTVの向上が「自社の成功」。
顧客の成果を起点に、この2つが循環しながら、顧客と自社がともに成長していく。
それが、カスタマーサクセスが目指す理想的な成長サイクルです。

そして顧客の成果を起点に自社の売上に進化していく過程は以下のイメージです。

① サービス導入:利用開始を支援し、早期に価値を届ける
② 顧客成果の創出:成功ゴールを明確に定義し、具体的な成果につなげる
③ 成果向上につながる営業提案:顧客の成果をさらに高めるため、アップセルやクロスセルを提案する
④ 既存顧客売上の拡大:提案が受注につながり、自社の既存顧客売上が伸びる
ポイントは、「③ 成果向上につながる提案」が押し売りではなく、顧客の成果を起点にしていることで追加の営業提案が押し売りにならないことです。
しかし「③ 成果向上につながる営業提案」で提案できる選択肢がなければ、サイクルは②で止まってしまう。冒頭の事例で起きていたのは、この状態でした。顧客の成果が利用の拡大や追加の投資につながらなければ、自社の成功まで辿りつきません。
顧客ライフサイクルマネジメント2.0では、エクスパンション(売上拡大)においてセールススキルではなくプロジェクトマネジメントを重要視しています。
顧客と次の成果を描き、そこまでの道筋を一緒に進めた結果として、追加の契約が生まれる。だからこそ、顧客の成果が大きくなるほど必要な機能や利用範囲が広がり、追加契約に自然につながる料金・プロダクトの設計が欠かせないのです。

成果と連動した料金設計が、強いカスタマーサクセス組織をつくる
料金とプロダクトの設計は、売上のためだけのものではありません。カスタマーサクセスのチームそのものを強くします。
顧客の成果が上がると、自社の売上が上がる。
売上につながった分だけ、カスタマーサクセスの貢献が数字で見え、自分たちの評価も上がる。
顧客の成果、自社の売上、自分の評価が同じ方向を向くことで、メンバーは顧客の成果のために迷いなく力を注げます。
そのためには、カスタマーサクセスが生み出した成果を、KPIとして計測できるようにすることが重要です。顧客の成果が、どれだけ継続や追加の売上につながったかを数字で追えていなければ、カスタマーサクセスの貢献は「解約を防いだかどうか」でしか評価されないからです。
成果を出すほど評価されるという実感が、モチベーションの高いカスタマーサクセス組織を支えます。
シンプルなロジックで、顧客の成果が自分ごとに仕組みを構築しましょう。
料金とプロダクトの設計は、カスタマーサクセスが動かす
とはいえ現実問題、料金体系やプロダクトの機能は、カスタマーサクセスの判断だけで変えられるものではありません。経営やプロダクトのチームと一緒に考えるテーマです。
それでも、カスタマーサクセスが自分の役割を超えて、プロダクト全体の戦略や方針を考えていくことは、非常に重要です。なぜなら、カスタマーサクセスは、どのポジションよりも顧客とプロダクトとの距離が近く、限りなくファクトに近い情報を持っているからです。

料金やプロダクトの方針を考えるとき、多くの場合は市場の調査や商談での声、アンケートなど、ある程度の仮説をもとに判断することになります。
一方、カスタマーサクセスは、顧客が実際にどこで価値を感じ、どんな成果を出し、その先に何を求めたのかを、日々の対話と利用の現場で見ています。どの機能がどう使われ、どこで使われなくなるのかも熟知している存在です。
「顧客はきっとこれを求めているはずだ」ではなく、「この成果を出した顧客は、次にこれを求めた」と言える。この事実の重みが、経営やプロダクトのチームを動かし、料金とプロダクトの設計を変える一番の根拠になります。
まとめ
顧客成果と連動した料金・プロダクト設計の重要性は、ご理解いただけましたでしょうか。
カスタマーサクセスの成果を売上につなげるうえで大事なのは、カスタマーサクセスの提案力やアップセルの頑張りだけではなく、成果が大きくなるほど利用が広がる料金体系やプロダクト設計です。顧客が成果を出すことと、その成果が自社の成長につながることは、同じではありません。
顧客の成果が自社の成長につながり、カスタマーサクセスの評価にもつながる。そんな「顧客」と「自社」の成功が循環する状態を目指していきましょう。
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