
顧客の「アウトカム」を、「ディープサクセス」のような遠いゴールだけで定義していませんか?
ゴールが遠すぎると、目の前の成果創出がおざなりになってしまうことがあります。
■そもそも「アウトカム」とは?
カスタマーサクセスにおけるアウトカム設計とは、顧客にとっての「成功」を定義することです。
ここで重要なのは、顧客がサービスを利用すること自体が、成功ではないということです。顧客がサービスを導入するのは、何かしらの課題を解決し、成果を得たいからです。
例えば、CRMを導入した場合、顧客が求めているのは「顧客情報を入力できること」ではありません。
顧客情報を活用することで、営業活動を効率化したり、売上を伸ばしたりすることが本来の目的です。
つまり、機能を使えるようになったかだけではなく、その先で顧客がどのような課題を解決し、どのような成果を得られたのか。
顧客にとっての成功を明確にし、そこに向けた支援を設計することが、アウトカム設計の基本です。

■あなたのお客様、なんとなくサービスを使っている状態になっていませんか?
「売上を伸ばしたい」 「業務効率を改善したい」
確かにそれは、CSが目指すべき顧客のゴールです。ただ、サービスを導入した直後から、こうした大きなゴールを達成するのは非常に難しいものです。
実際にMagicSuccessの支援先でも、顧客の最終的に目指すゴールは設定されているものの、そこに至るまでの具体的な支援プランが定まりきっていないケースをよく見かけます。
例えば、キックオフの場で顧客が「売上を伸ばしたい」と語り、CSはそのゴールをサクセスプランに設定する。
ところが、導入から数週間が経過しても、顧客も担当CSも「いま、どこまで成果が進んでいるのか」を説明できない。
オンボーディングでは操作方法をお伝えすることが中心となり、気づけばサービスが「なんとなく使われている」状態になってしまう。
こうした状況は、決して珍しいことではありません。
この問題の本質は、目指すべきゴールの設定方法にあります。
最終的なゴールがあまりにも遠いと、そこにたどり着くまでの道筋が見えにくくなります。
顧客自身も「何から取り組めば成果につながるのか」がわからず、CS側も「どのような順番で、何を支援すべきか」が曖昧になってしまいます。
その結果、具体的な成果を実感できないまま、なんとなくサービスを使い続ける状態になってしまうのです。
もちろん、遠いゴールを設定すること自体が悪いわけではありません。
大切なのは、最終的なゴールを見据えながら、そこに至るまでの「途中のゴール」を段階的に設計することです。
■アウトカムを4段階で設計する
そこでCS明日トレでは、顧客のアウトカムを導入初期からディープサクセスまで、段階的に4つに分けて定義しています。
① Quick-Win:導入直後に、すぐ価値を実感できる
② ライトサクセス:日常業務で継続利用が始まる
③ ミドルサクセス:業務に組み込まれ、習慣になる
④ ディープサクセス:事業成果につながる
Quick-Winは、顧客が「入れてよかった」と最初に感じる瞬間です。例えば、これまで手作業でまとめていた情報が一画面で見られるようになった、といった小さくても確かな手応えがこれにあたります。
ライトサクセスは、その手応えが一度きりで終わらず、日常業務の中で継続的にサービスを活用できるようになった状態です。オンボーディングの完了要件として設定することが多い段階です。
ミドルサクセスでは、サービスが業務フローに組み込まれ、チームの習慣になっています。使うかどうかを毎回考えなくても、自然と使われている状態です。
そしてディープサクセスで、サービスの活用が売上向上や生産性改善といった事業成果につながっていきます。
ここで重要なのは、それぞれの段階を「顧客の状態」で定義することです。
CSが何をしたかではなく、顧客がどのような状態になっているか。
この基準をそろえておくことで、チームの誰が見ても「この顧客はいまどの段階にいるのか」を判断でき、次に目指すべきゴールも明確になります。

■ディープサクセスだけを追求する罠
ここまで読んで、「それなら最初からディープサクセスを目指した方がよいのでは?」と感じる方もいるかもしれません。
もちろん、ディープサクセスはCSが目指すべき重要なゴールです。
しかし、ディープサクセスだけを追求すると、かえって顧客の成果創出が遅くなってしまうことがあります。
なぜなら、売上向上や大幅な生産性改善といった事業成果は、CSだけで実現できるものではないからです。
経営戦略や組織体制、他部署との連携、顧客自身の業務改革など、さまざまな要素が関わってきます。
そのため、ディープサクセスだけに固執すると、次のような問題が起こりがちです。
① 改善のスピードが鈍る
大きな成果を実現するために、経営層や他部署との合意形成が必要となり、現場ですぐに実行できる改善まで止まってしまうことがあります。
② 具体的な支援に落とし込みにくい
経営判断やプロダクト方針など、CSだけではコントロールできない要素に左右されるため、目の前で何を支援すべきかが曖昧になってしまいます。
ディープサクセスを目指すことは重要です。
ただし、それだけを追いかけるのではなく、そこに至るまでの小さな成果を積み重ねることが大切です。
最終的な事業成果を見据えながら、まずはCSが支援・改善しやすい初期のアウトカムを確実に届ける。
これが、顧客の成功を前に進めるための考え方です。
■重要なのはQuick-Winとライトサクセス。オンボーディングの成功を設計する
4段階のアウトカムの中でも、CS明日トレが特に重視しているのが、Quick-Winとライトサクセスです。
この2つは、主にオンボーディングのフェーズで目指すアウトカムです。
具体的には、オンボーディングの初期段階でQuick-Winを実現し、ライトサクセスの状態に到達することをオンボーディングの完了要件として設計します。
つまり、単にサービスの初期設定や操作説明が終わったからオンボーディング完了とするのではなく、「顧客が日常業務の中でサービスを継続的に活用できる状態になったか」を完了の基準にするということです。
そう考えると、Quick-Winとライトサクセスを重視することは、オンボーディングを徹底的に磨き込むことと、ほぼ同じ意味を持ちます。
では、なぜこの2つが重要なのでしょうか?
① 初期に価値を実感することで、次の段階に進みやすくなる
導入初期に「このサービスを入れてよかった」と感じられれば、顧客は継続して使う理由を持つことができます。
一方で、初期に手応えを感じられないまま時間が過ぎてしまうと、その後どれだけ良い提案をしても、「そもそも使いこなせていない」という状態で止まってしまうことがあります。
まずは小さくても確かな成功体験をつくることが、その後の活用拡大につながります。
② 顧客と「何をもって成功とするか」を具体的に合意できる
「売上を伸ばす」というゴールは重要ですが、達成までには時間がかかり、進捗も見えにくいものです。
一方で、Quick-Winやライトサクセスであれば、「この業務で活用できるようになったら成功ですね」と、具体的な状態を顧客と合意できます。
特にライトサクセスをオンボーディングの完了要件として定義することで、顧客とCSが同じゴールに向かって進めるようになります。
③ 支援を型化し、成果創出の再現性を高められる
遠いゴールに比べて、Quick-Winやライトサクセスは到達までの道筋が短く、必要な支援も具体化しやすいという特徴があります。
そのため、オンボーディングの手順やコンテンツに落とし込みやすく、担当CSの経験やスキルだけに依存しない支援体制をつくることができます。
まずはQuick-Winとライトサクセスを明確に定義し、オンボーディングで確実に到達できる仕組みをつくる。
これが、顧客の成果創出を再現性のあるものにするための第一歩です。

■手前のゴールが攻めのCSをつくる
Quick-Winとライトサクセスを磨くことは、決して「小さくまとまる」ことではありません。
オンボーディングの中で初期価値を確実に届ける仕組みができれば、CSは顧客ごとに一から支援方法を考える時間を減らすことができます。
その分、ミドルサクセスやディープサクセスに向けた提案や、活用の幅を広げる働きかけに時間を使えるようになります。
解約の兆しが出てから火消しに走るのではなく、価値を届ける順番を自分たちで設計し、先回りして顧客を前に進める。
守るだけでなく、攻めるCSは、この順番の設計から始まります。
■まとめ
顧客の成功を実現するためには、ディープサクセスという遠いゴールを目指すだけでなく、そこに至るまでのアウトカムを段階的に設計することが重要です。
特に、導入初期のQuick-Winと、オンボーディングの完了要件となるライトサクセスを明確にすること。
オンボーディングを「導入作業の完了」ではなく、「顧客が価値を実感し、継続的に活用できる状態をつくるプロセス」として設計することが、顧客の成功の起点になります。
CS明日トレのDAY1では、自社の顧客に当てはめながら、この4段階のアウトカム設計についてお伝えします。
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